俳句の部

☆奨励賞(最高齢者)☆

那智の滝落差を誇る日本一
拓 山(国東市)(一〇五歳)
秋風に寒さ感じる冬支度
年初め七草におう朝の膳
荒巻 チエ子(杵築市)(一〇一歳)
※年齢は平成三十年四月一日現在

阿部 正調 選

☆☆特選☆☆

訥訥と確と初音でありにけり
加納 正輝(佐伯市)
〈評〉春の魁とされるのが鶯の初音である。二月頃に始まり徐々に声調も整ってくるのであるが、逸品のホーホケキョになるまでにはそれなりの学習がいる。訥訥はまさにその学習の時期である。簡にして潔、特に「確と」がよい。

☆入選☆

しばらくは放哉とゐる秋灯下
堀井 とよみ(大分市)
〈評〉よく似た俳人に山頭火と放哉がいる。そして山頭火贔屓と放哉贔屓がいる。今夜はより身につまされる放哉を読み返してみるか。
ねんねこの寝息となりてをりにけり
つ か さ(大分市)
〈評〉姉が年の離れた弟を、兄が幼い妹をねんねこで背負った時代があった。その兄弟とも疎遠になったが、あの寝顔だけは忘れられない。
山裾を揃えて終る松手入
片岡 学(別府市)
〈評〉庭の松と借景の山を遠近に据えた松手入れの景である。「山裾を揃へて」の見立てが非凡であり、仕上げの一鋏に職人の気風が覗く。

 

吉原 白天 選

☆☆特選☆☆

ずつしりと重き朝刊初御空
健 人(大分市)
〈評〉今年も大量の朝刊が届いている。あいさつや景気の動向、社会の変動の予想などであろう。今年はどんな年になるのだろう。平和で誰もが幸せになれるように元旦の空へ願っている。そんな気持ちが自然に伝わる句である。

☆入選☆

歓声と共にあがりし初日の出
植木 修子(大分市)
〈評〉待っていると日の出だ。嬉しくなってみんなで「万歳」と叫んだ。初日の出の様子や感動、新年の「めでたさ」が伝わってくるようです。
桜咲く昔少女のクラス会
國次 ミエ子(臼杵市)
〈評〉卒業式は桜が綺麗だった。クラス会であの頃は少女で桜のように輝いていたと語り合う。若き日の懐かしさ、嬉しさが伝わってくる。
毛糸編む裏目表目陽を掬ひ
大津 節子(大分市)
〈評〉毛糸を温かく仕上がるように、一目一目心を込めて編む。表に裏に陽を掬うように編む。なんとなく温かい気持ちがじわっと伝わってくる。

 

山下 かず子 選

☆☆特選☆☆

ひとり居に今日は文くる小鳥くる
小田 祥子(津久見市)
〈評〉一人暮らしは気楽である。が、一抹の淋しさもある。そこに文が届く嬉しさ。さらに小鳥もやって来た。「文くる小鳥くる」のリフレインに、気持ちが明るく華やいでゆく様子がよく表現されている。

☆入選☆

蓮枯れてものみな黙の中にかな
勝 一(臼杵市)
〈評〉美しい花をかかげていた蓮が実となり、ついには枯蓮となった。人も生きもの達もいなくなりいよいよ「黙(もだ)」の世界だ。大いなる自然。
笑ひ皺更に増やして初鏡
横山 八千代(大分市)
〈評〉笑って生きてゆければどんなに幸せだろう。そうでない事は作者も充分分かっている。だからこそ笑いに変えるのだ。ここに読者は共感する。
鉄工の火花は冬を切りにけり
吉積 英子(大分市)
〈評〉激しく飛び散る鉄工の火花。閃光は大きく弾け厳しい冬の空間を切る。無機質な火花を「冬を切りにけり」の措辞で詩情に仕立てあげた。